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手水鉢

武野紹鷗(1502~1555)は堺の豪商の家に産まれたが、幼少より文武の両道を好み、ことに文学の志が深かった。京に出て、歌道を三条西実隆に、茶の湯を茶道の開祖村田珠光門下の藤田宗理に学び、極意をきわめた。紹鷗は「侘び」の境域をもって茶道の理想とし、草庵の数寄屋建築を創案した。紹鷗の茶道の伝統は千利休・津田宗及・今井宗久らに伝えた。

当山本堂の南側に紹鷗が建てた草庵があったが、大正年間の風害で惜しくも倒壊し、現在は礎石が少し残るのみとなっている。しかし、紹鷗遺愛の手水鉢は今も残っている。割った石に笹の葉と竹の模様が刻まれ、粗面造りの手水鉢は渋く落ち着きがあり、素朴な中に力強さを感じます。

見晴らしのいい当山にあった茶室で侘び茶を楽しんでおられたのでしょうね。