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木造般若菩薩坐像

般若菩薩は、般若波羅密菩薩とも称する。大般若経で体現される、すべてに通じた仏の知恵を具象化した菩薩である。胎蔵界曼荼羅の、中台八葉院の直下にあたる持明院という区画の中央に描かれる。
本像は、一説には生玉宮寺伝来の像とされ、正圓寺への伝来の由来は不明である。生玉宮寺では、大般若経転読がしばしば行われていたようであり、青蓮寺に伝来する生玉宮寺の仏画の中に、大般若経の本尊としてよく用いられる釈迦十六善神に加えて、般若菩薩を主尊とした十六善神の画も含まれている。
もし本像が生玉宮寺の旧蔵とすれば、生玉宮寺の大般若経に対する信仰と関連して造像された可能性も考えられる。
しかし一方で正圓寺も、大般若経への信仰と密接なかかわりを持つ寺院であり、釈迦十六善神を立体で表現した彫像群が釈迦堂の本尊となっている。
本像が、神仏分離の際か、あるいはそれ以前か、正圓寺に安置されていた時期については不明である。しかし、正圓寺に安置されて以降は、実際に大般若会に用いられていた可能性が考えられる。

大阪市指定文化財
(大阪密教美術保存会「正圓寺の仏像について」より抜粋)